禁煙しないと都合が悪かった女性

 世の中には禁煙したい方は多いものです。
その理由も実に様々で、一番多いのは自分自身や周りの家族の健康のためですが、他にも、経済的な問題で禁煙したい方も無視できないくらいいます。

 理由は何であれ、禁煙したいという気持ちと禁煙するという意志は必要不可欠なものです。
今ここでご紹介する方の場合はあまり見かけない理由の方でした。

 ある時、若い女性が尋ねて来ました。 自分は本当に禁煙したいのだと強く強調しながら言いました。
「自分には彼がいる。 自分はその彼の前では禁煙者として(はじめから)通っている。 だけど、本当は自分はタバコが好きで吸っていたい。 でも自分は禁煙者ということになっているので、デート中は禁煙者で通して、いつもデートを途中でやめて彼から離れてタバコを吸っている。 だけどデートは最後までしたいので、自分はデートを最後までできるために、本当に禁煙者になりたいんです。」

 果たして彼女は禁煙できたでしょうか??

結果は・・・、セッションの前後でいかなる変化も現れることはありませんでした。

 何故だと思いますか・・・、分りますか?

 彼女は言葉の上では禁煙者になりたいという表現はしてはいました。
ですがそれは、真の意味では、自分は喫煙者では都合が悪いんだ、という訴えでしかなかったわけです。
確かに禁煙できれば、デートは最後までできるし、もう彼にこれまでのウソがばれる心配もなくなる。 都合の良いことばかりです。
ですがそれは、彼女の望んでることではなかったということなのです。 それは単に都合が良いということなだけで、
彼女が禁煙したいこととは無関係だったということなのです。

 都合が良いことと、望んでいることとは違います。 煙草に関しては彼女は単に彼を欺きたかったわけなのです。
心の中にあったことはどうやら、これまで、ばれないだろうかと恐れていた心配をなくしたい、ということだったようなのです。 彼女の本当の希望は彼を首尾よく欺く、ということで、実際彼女はそれまでそうしてきていたわけですから、既に望むものは得ているわけなのです。 したがって何も変わるべきものはなかった、ということなのです。  催眠療法にウソは通じないのです。 催眠療法は自分に素直に受ける必要があります。 セラピストを騙すことはできても自分自身を騙すことはできないと肝に銘じてください。